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2011年、私の記憶に残った10冊

 2011年は地震、津波、原発事故と大変な1年でしたが、そんな中でも、日々の
暮らしは皆一様にあるわけです。世間では「絆」が2011年を代表する言葉となっ
た様ですが、私は今年が「共同幻想元年」だったと受け止めているところです。さて
さて、来年はどんな年になるのやら。年末年始のごあいさつ代わりに本の紹介です。
よいお年を。

1、ラーメンと愛国 速水健朗著 講談社現代新書
 書評等では「ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み!」などと紹介され
ているわけですが、本当に読めば読むほど引き込まれてしまいました。ラーメンを通
じてのナショナリズム分析は非常に興味深いものでした。また、浅間山荘事件がイン
スタントラーメン(赤軍)VSカップラーメン(警察)という構図にあり、事件解決
後にはカップラーメンが爆発的に売れたなどという指摘も非常に面白いものがありま
した。

2、画文集 炭鉱に生きる(新装版) 山本作兵衛著 講談社 
1967年に発行された同書の復刻版。副題に“地の底の人生記録”とあるとおり、
地底深くでの炭鉱労働の詳細が記録(主に絵で)されています。世界記憶遺産となっ
たわけですが、やはり大変貴重なものと思います。

3、SとM 鹿島茂 幻冬舎新書
 SMというと「蝋燭タラタラ、亀甲縛り、あっあ~ん!もっとぶって~!」といっ
た変態趣味という話にかたづけられてしまいがちですが、SMを世界史の流れのなか
で捉え「日本人というのは、西洋人と違って、苦痛を介して神に出会うということは
なくて、自由の拘束を介して共同幻想に至る、そう結論してもいいのかもしれません
ね」という分析は非常に興味深いものでした。政治的・経済的絶対者に対する日本人
の態度をどう捉えるかといった時に参考になると思います。(ちなみに「絆」という
言葉の意味には“しばる”という意味が含まれていますので)

4、腸!いい話 伊藤裕著 朝日新書
 腸(ちょう)についての著作ですが、生命体の発生過程から人間が生きているとい
うことはどういうことなのか、病気とはどういう状態のことを言うのか、とてもよく
答えてくれた優れものです。

5、原発はいらない 小出裕章著 幻冬舎ルネッサンス新書
 小出氏の著作の中でもこの本が一番印象に残りました。理由は、Q&A方式で素朴
な疑問に答えてくれていること、それと大人がやるべきことに言及しているという点
です。原発関連の本は多くの出版社から多数出されていますが、じゃあこれからどう
するのという点については避けているというのが現状ですので。

6、日光の司法 御仕置と公事宿 竹末広美著 ずいそうしゃ新書
時代劇などで「打ち首、獄門」などのフレーズがよく聞かれますが、「獄門」って何
よ?って、そんな疑問にちょっとだけ答えてくれています。

7、山村芹沢の仕事言葉 阿久津満著 ずいそうしゃ新書
 山村労働において「イエッコ」(ノリ、ユイ、イイ・・・など地方によって言い方は
異なる)という労働力交換制があったことなどが記録されています。

8、宝塚百年の夢 植田紳爾著 文春新書
 常磐ハワイアンセンターの目玉がフラガールであったように、宝塚新温泉の目玉は
宝塚歌劇団であったわけですが、その宝塚は今や天下の宝塚。一地方の産業興しか
ら、どうして天下の宝塚としてあり続けられているのか、非常に興味深いところで
す。

9、新左翼とは何だったのか 荒岱介著 幻冬舎新書
 この本の著者の見解であるわけですが、戦後労働運動の一端を垣間見ることができ
ます。ブントって何?という人にも体系図が載っているので、全く畑違いの人でも大
丈夫?かも。

10、オルグ学入門(新装版) 村田宏雄著 勁草書房
 1982年に発行された同書の復刻版。組合オルグを類型化して捉え分析している
本ですが、その内容はどうにもこうにも・・・。反面教師として振り返ってみては。

以上、ByBy(^v^V

by morimiki-momo | 2011-12-30 17:37